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投球時に肩甲骨を安定させる前鋸筋の役割と2つのトレーニング方法

2017.06.10

投球時に肩甲骨を安定させる前鋸筋の役割と2つのトレーニング方法

  • 野球選手向けトレーニング

前鋸筋は、投球時に肩の土台となっている肩甲骨を安定させたり動かしたりする野球選手にとって重要な肩甲骨周囲筋の一つで、前鋸筋の機能が低下ことすることで、肩甲骨の運動異常や位置異常がおこり、投球フォーム不良や野球肩につながるリスクが高まるとされており、定期的な評価と継続的なトレーニングを行うことが推奨されています。

今回は、【前鋸筋(ぜんきょきん)】の役割や2つのトレーニング方法とトレーニングの注意点を紹介していきます。

■前鋸筋とは?

前鋸筋は、肩甲骨から肋骨に付いてくる筋肉で、ノコギリのような形をしています。
ボクシングでパンチをする際に使う筋肉でもあり、「ボクサー筋」とも呼ばれています。

 

■前鋸筋の役割と投球との関係

①投球時に肩甲骨を安定させる

投球時、胸郭に肩甲骨を固定させ、安定させる役割を担っています。

肩甲骨は、肩関節の土台となっています。そのため、肩甲骨がグラグラと不安定の状態だと肩の安定性も失われてしまいます。

②投球時に肩甲骨を動かす

投球時に肩甲骨は「上方回旋、後傾、外旋」といった3軸の動きが生じますが、前鋸筋は「後傾、外旋」に作用します。

前鋸筋の作用

肩甲骨が正しく動かなかったり、不安定な状態は、肩のインナーマッスルの筋出力を減少させ、過負荷を生じさせることになり、腱板損傷や腱板断裂といった肩関節障害の発症リスクを高めます。

前鋸筋の筋力低下は、肩甲骨の運動異常・位置異常に関わり、肩関節の運動異常を悪化させる潜在的な要因でもあるのです。

1. 重りとストレッチポールを使った前鋸筋トレーニング方法

トレーニングに必要なものは、ストレッチポールと重りだけ!

重りは500mlのペットボトルに水を入れて代用してもOK!

方法とポイントを写真でまとめました

重りを両手に持ち、ストレッチポールの上に仰向けになり腕を床と垂直にあげます。

背中が浮かないように、両手を前に押し出すように動かしていき限界まで押し出したらゆっくり戻します。
この動作を50回繰り返します。

★Point★回数が増えてくると押し出すのが弱くなったり手がぶれたりするので注意!戻すときもしっかり下まで下ろしましょう!

頻度

週3回以上(できれば毎日)、1回2セット(セット間の休憩1分間)行いましょう。

【NG】悪いフォーム

肘が曲がっている。

腕が床と垂直ではない。

簡単なトレーニングですが、正しいフォームを意識して行いましょう!

2. チューブを使った前鋸筋トレーニングの方法

トレーニングに必要なものは、チューブだけです!

前鋸筋トレーニング準備

チューブは高級な物ではなくても、100円ショップ等で購入出来る物でOKです!

準備が整ったら実際にトレーニングを始めていきましょう!

前鋸筋トレーニングの詳しい方法とポイントを写真でまとめました

チューブの端を両手で持ちます。

前鋸筋トレーニングチューブの持ち方

チューブを背中に回し肩甲骨に引っ掛け、両肘を伸ばします。

前鋸筋トレーニング1

正面から見ても腕は真っ直ぐです。

前鋸筋トレーニング正面正しいフォーム

肘を曲げないように、両手を前に押し出すように動かしていきます。

★Point★3秒かけてゆっくり押し出します!

前鋸筋トレーニング2

限界まで前に押し出します。

★Point★肩甲骨が外に動いていることを意識してください!

前鋸筋トレーニング3

肘が曲がらないように最初の位置に戻します。

★Point★3秒かけてゆっくり戻していきます!

前鋸筋トレーニング4

この動作を約30回繰り返していきます。

トレーニング初期は、正しいフォームを身につけるため、タイマーは使用せず、肩甲骨を身体の内側に寄せることを意識して実施してください。
慣れて来たら1回のトレーニング3分間タイマーをかけて行なってください。

トレーニングタイマー

頻度

週3回以上(できれば毎日)、30回3セット(セット間の休憩1分間)行いましょう。

それでは動作の注意点を見ていきましょう!

【NG】悪いフォーム

肘が曲がっている。

前鋸筋トレーニング肘が曲がっている

腕が高い。

前鋸筋トレーニング腕が高い

腕が低い。

前鋸筋トレーニング腕が低い

背中が丸まっている。

前鋸筋トレーニング背中が丸まっている

腕が開いている。

前鋸筋トレーニング腕が開いている

腕が閉じている。

前鋸筋トレーニング腕が閉じている

肩の後ろや肩甲骨の下の方が熱くなる感覚やダルくなるような感覚があれば、しっかりとトレーニングができている証拠です。あまり疲労がない場合はチューブが緩んでいたり、動作が速すぎる可能性があります。正しいフォームを意識して行いましょう!

まとめ

前鋸筋のトレーニングを2つご紹介しましたが、1つ目のストレッチポールを使ったトレーニングの方が比較的簡単に行えるので、初心者の方にはオススメです。
野球肩のリハビリや投球障害予防、パフォーマンス向上のために、ぜひチャレンジしてください!

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この記事を書いた人
酒井貴司

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