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バッティングにおいてスイング(振る)という動作がアウトプットだとすれば、見ることは、インプット(情報収集)の役割を果たしています。
野球選手は、打率を上げるために、素振りやティーバッティングをはじめとしたバットを振る練習やフォームの改善など技術的な部分の練習に多くの時間を費やしていますが、「見ること」こそ打率アップにつながるヒントが隠されています。
今回は、打率をアップされるために知っておいた方が良い5つのことついてに説明したいと思います。
プロ野球では、3割打者は一流の証だといわれます。
そこで選手に「バッティングで3割打者を目指すにはどうしたらいいか?」と質問をします。大抵の選手は少し考えながら「技術を高めてヒットやホームランを多く打つこと」と答えます。
続けて他の要素はと聞くと、「打つという気持ちが大事」とメンタル面を答えます。
しかし、3割打者と2割5分の打者のバッティング技術の差は何か?打つという気持ちがどう違うのか?を明確に説明できる選手やコーチ、研究者はどこにもいません。
つまり、技術やメンタルを鍛えても3割打者になれるかといえば、必ずしもそうだとは言い切れないのです。
3割打者と2割5分の打者には、明確な違いがあります。
3割打者は、2割5分の打者より(100打席で)5本余分にヒットを打っています。(厳密には、四死球、犠打等も考えられますが。)
違いはたったの5本しかありません。
5本多くヒットを打つために必要なことは、曖昧な技術やメンタルではなく、ボール球に手を出さず同時に打てる球を見抜く「見る力」が鍵となります。
以下の表は、メジャーリーグに所属する打者のボールコンタクト率の平均値を表したものです。
参照元:FanGraphs Baseball
※O-Contact%:ボールゾーンコンタクト率。ストライクゾーンの外への投球を、打者がスイングした際、打球(ファウルボールも含む)が発生した割合。
※Z-Contact%:ストライクゾーンコンタクト率。ストライクゾーンへの投球を、打者がスイングした際、打球(ファウルボールも含む)が発生した割合。
一流のスイング技術や強いメンタルを持っているメジャーリーガーでも、ボール球は3回に1回は空振りしてしまいます。
それに対し、ストライクゾーンの球はというと、87%以上の割合で当てることができています。
バットにボールが当たらなければ、当然ヒットになることはありません。打率アップのためには、できる限りボール球をスイングせずストライクゾーンをスイングすることが重要です。
以下の表は、メジャーリーグ打者がボール球をスイングした割合とストライクゾーンの球をスイングした割合(ともに平均値)を表したものです。
参照元:FanGraphs Baseball
※O-Swing%:ボールゾーンスイング率。ストライクゾーンの外の投球に対し、打者がスイングした割合。
※Z-Swing%:ストライクゾーンスイング率。ストライクゾーンの投球に対し、打者がスイングした割合。
平均球速148km/h(4シーム)を超えるメジャーリーグで、打者はストライクゾーンに投げられたボールに対し、65%以上の割合でスイングを行い、ボール球の約70%を見送っています。
※ちなみに日本プロ野球(NPB)の平均球速は141km/h超。
まさにボール球に手を出さず同時に打てる球を見抜く「見る力」が備わっている証です。
リリース後1/3の地点で打者の視覚を遮断し、その球がストライクかボールか、ストライクだと判断したならば、内角・外角・真ん中のどのコースにきたかを判断させ、選球眼の良否を数値化した。
その結果、打率と選球眼には相関があり、打率の高い打者は選球眼が良く、低い打者は選球眼が悪いということを明確に示した。とくに打率の低い打者は、外角のストライクをボールと判断する割合が高かった。
石垣尚男:選球眼と打率の関係,愛知工業大学研究報告,第50号B,2015
打率アップには、バッティング技術を鍛えるだけでは限界があり、選球眼(ボールを見極める力)を鍛えることが重要だということがわかります。
とくに視線が一番離れる外角のボールを見極めるチカラが必要です。
打率をアップさせるためには、技術や体力、メンタルを鍛えるだけでなう、眼を鍛えることが重要です。
打率が中々上がらない選手は、眼を鍛えることが打率向上の鍵を握っています。
また、監督やコーチは、選手の能力を把握する際、対戦チームの能力に左右されやすい打率や三振数、四死球数で判断するのではなく、見極率やコンタクト率を評価の一つに組み込むことで、新たな才能の発見に繋がるかもしれません。
眼の役割やスポーツビジョン能力について過去のコラムに書いてので、ぜひご覧ください。
スポーツビジョンを鍛えろ!スポーツにおける眼の役割と重要性
【野球科学】正しいバッティングのメカニズムと成功するため秘訣
大橋浩史(Hiroshi Ohashi)
ヘルスラボ代表。1982年生まれ、東京都出身。スポーツビジョン研究及び投球・打撃動作分析を担当。
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