2017.06.29
投手に重要な肩甲骨の動きに関与する小胸筋のストレッチ方法と注意点
2017.06.27
パソコンやスマホの普及、寝具・シューズの進化、日常生活の変化に伴い、近年、不良姿勢の選手が増えています。
野球選手にとって、不良姿勢は投球障害のリスクを高め、投球フォーム不良を招きます。
今回は、姿勢を改善するために必要な胸郭の柔軟性を高めるストレッチ方法をご紹介します。
正しい姿勢の基準は、「耳たぶ・肩峰(肩の先端)・大転子(太もも上部外側の出っ張り部分)・膝の中央・くるぶし前方」を結んだラインが直線になっていればOKです。
不良姿勢は、反り腰、猫背、フラットバック、スウェイバックなどに分類されますが、正常な姿勢を除き、胸椎後弯の増強している状態です。
投球・送球時に、肩の土台となっている肩甲骨は「上方回旋、後傾、外旋」と3軸に動きますが、不良姿勢(胸椎後弯)により肩甲骨の運動軸が前方に変位することで、肩甲骨の後傾と外旋が減少し、肩甲骨の運動異常・位置異常の要因となります。
近年、肩甲骨の運動異常・位置異常は、肩関節の運動機能を悪化させる要因として注目されており、野球肩をはじめとした投球障害や投球フォーム不良につながる可能性があります。
そのため、胸郭の柔軟性を高め、不良姿勢(胸椎後弯)を改善する必要があります。
ストレッチポールを活用して、簡単に行える胸郭の柔軟性を高めるストレッチ方法を3種類ご紹介します。
amazonで1,500円〜10,000円前後で販売されています。
長さは100cm程度のものがオススメです。
頻度:毎日5分1セット以上
①ストレッチポールを背骨に合わせて、頭をしっかりと乗せた状態で膝を立てて寝ます。
②手のひらを上に向けた状態で腕を肩の高さまであげ、脱力します。
③鼻から胸がしっかりと膨らむまで吸い、口からできる限り息を吐き切りましょう。
横から見ると・・・
頭からお尻までがストレッチポールに乗るように寝ましょう。
頻度:毎日50回2セット以上
①ストレッチポールを背骨に合わせて、頭をしっかりと乗せた状態で膝を立てて寝ます。
②バンザイをします。
③手が地面から離れないよう注意しながら、肘を曲げながら腕を下に引いていきます。
④肘が限界のところまで引けたら、肘を伸ばしながら脇を閉じていきます。
⑤最後はストレッチポールの横に腕が来るところまで下ろしていき、そこからスタートの姿勢まで逆の順番で戻ります。
この動作を繰り返して行ってください。
頻度:毎日3分2セット以上
①後頭部で手を組み、ストレッチポールが肩甲骨の下に来るように、膝を立てて寝ます。
②鼻から胸がしっかりと膨らむまで吸い、口からできる限り息を吐き切りましょう。
横から・・・
不良姿勢は、インピンジメントや腱板損傷のリスク要因となっていることが明らかになっています。
「正しい投球フォームを身につけたい」「投球障害の発生リスクを減らしたい」と考えている選手は、野球のトレーニングと同様に真剣に取り組む必要があります。
このストレッチを行うだけでなく、椅子に座っているときや歩いているとき、立っているときの姿勢など日常生活でも意識して習慣づけることも大切になってきます。
日々のルーティンワークとして、ぜひチャレンジしてみてください。
不良姿勢以外にも肩甲骨の運動異常・位置異常に関わる要因があります。
以下コラムを参考にトレーニングやストレッチをしてください。
肩甲骨の運動異常・位置異常に関わる肩甲骨周囲筋の筋力低下を防ぐトレーニング方法はこちら
投球時に肩甲骨を安定させる前鋸筋の役割と2つのトレーニング方法
投球時に肩甲骨を安定させる僧帽筋下部繊維の役割とトレーニング方法
肩甲骨の運動異常・位置異常に関わる肩後方タイトネスを改善するストレッチ方法はこちら
野球選手にとって1番重要な3つの肩後方ストレッチ方法と注意点
山内昌也(Masaya Yamauchi)
柔道整復師。1991年生まれ、沖縄県出身。専門分野は、野球選手の投球障害はじめとしたコンディショニングと投球動作・打撃動作の分析とトレーニング指導。自身の経験値とテクノロジーを活用したデータ分析で、選手のトータルサポートを行う。
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